兵庫県宍粟市で進んでいる新築物件が、上棟を迎えるとのことで現場へ向かいました。
現場へ到着した時点ですでに一階の構造体が組み上がっており、二階に材料が運ばれていました。
8時から作業が始まっており、現場へ到着したのが9時頃だったので、1時間で一階部分が組み上がったことになります。
ちなみに大工さん8人とクレーン班が1人の計9人で作業されていました。
しばらくすると和小屋と大屋根を組み始めました。今回の新築住宅はこの大屋根が特徴の一つです。
登梁や垂木の張り出し部分を見てみると、すでにレッドシダーに塗装されています。
以前、六甲山の休憩キャビンの小屋裏周辺部分を塗装したのですが、作業体勢が厳しく翌日は筋肉痛に悩まされたので、初めから塗装されているのをみると少しだけ羨ましくなります。
そんなことを考えているうちに、小屋組が組み上がりました。
上から見てみると、登梁や垂木がコーチスクリューで母屋としっかり接合されているのがわかります。
この部分は申請時に細かく聞かれたところなので、実際に留めつけてあるのをみると安心感と達成感があります。
ちなみに、この時点では棟木が母屋側の垂木からはみ出しているのですが、小屋組を組み上げた後にはみ出している棟木を切り落としていました。
こうすることで棟木が面一で綺麗に垂木と納まっていました。
この切り落とされた棟木の切れ端は縁起が良さそうでしたので、許可を得て持ち帰ることにしました。
続いて組み上がった垂木や登梁に屋根の野地板と構造材を兼ねているMパネルを留めつけていきます。
クレーンでMパネルを10枚くらいまとめて大屋根に運び、大工さんが垂木に留めつけていきます。
Mパネルは柾目の化粧材になっているため、この時点で小屋裏の仕上がりがある程度想像できます。
無事に野地板を留めつけ終わりました。ここまで進むと家の輪郭がくっきりしてきます。
ここで大工さんと一緒に昼休憩に入りました。
Mパネルを貼ったことで室内が日陰になったので、直射日光にさらされることなくお弁当を食べることができました。
昼休憩を終え、作業再開です。
屋根の断熱材を支えるために、野地板の上にさらに垂木を固定していきます。
けらばの垂木はすでに固定された状態で、近くの加工場から搬入されてきました。
それをそのままクレーンで大屋根まで一気に持ち上げていました。
クレーンでの搬入は圧巻ですが、クレーンの操縦者と大工さんの息が合っており、安心感もありました。
タイミングよく断熱材であるネオマフォームが運び込まれ、先ほどの垂木の間に充填されました。
断熱材は、室内には面しない軒先やけらばには充填されていません。
室内に面しない部分には充填する必要がないためです。この方が施工の手間も断熱材の費用も削減できます。
同様に室内に面する箇所に、透湿防水と遮熱機能を備えたタイベックシルバーを敷きます。
さらに上から合板を重ねた後に、ルーフィングを敷いて雨水が小屋裏に侵入しないようにします。
ルーフィングは屋根にかかる雨水が木材などに浸透しないようにするため、屋根全体を覆うように敷きます。
ここまでの作業を終え、無事に上棟を終えることができました。
今回初めて上棟を見学し、大工さんの手際の良さを目の当たりにし、ますます竣工が楽しみになりました。
また、図面ではなく現場で建物が建つ様子を観察していると、今まで図面上で考えていたことが具体的に整理されていく気がします。
暑さはまだおさまりそうにないですが、引き続きよろしくお願いいたします。
WASH建築設計室 スタッフ 長辻航椰