昨年竣工、お引き渡しをした京都府南丹市のいえの外構工事を始めます。
今回は最近お世話になっている増茂庭園設計舎に依頼してお庭の計画を進めています。
この日はまずはお庭の状況を整理するための「風の草刈り」「既存の薪の整理・積み直し」をメインで行いました。
お昼を少し跨ぎましたが土中環境を改善するための溝作りまでしていただきました。
住まい手と一緒になってワークショップ形式で作業をしました。
南面のお庭
居間、台所の前のメインのお庭です。草木が好き勝手生い茂っています。
また奥の方は元々建っていた古民家を解体した時に出た構造材を薪にしたものがほったらかしになりゴミゴミしています。。。
まずは既存の植栽の間にも風が通るように「風の草刈り」を施していきます。
風が通り抜ける状態にしてあげることで空気が動き、水が動き、土中へも同様に空気と水の動きを生み出して明るく爽やかな空間になります。
同時に敷地の奥の方に置きっぱなしになっていた薪を引っ張り出してきます。
薪を一旦別のところに移動しています。
薪をなくしてから、その場所の壁際に水脈をつくり、環境を改善した上で薪を積み直します。
水脈づくりの様子です。
水下側に溝をほり、炭を入れ、溝が埋まらないように枝や石を詰めていきます。
元々あった民家を解体した時に出た瓦も、石の代わりに砕いて使ってもらいました。
古民家を土に還す。プロジェクトのコンセプトにも沿って嬉しい限りです。
こうして南側のお庭の全貌が明らかになりました。
薮となっていた草木の下からは石がたくさん出てきました。
この石を活用して、外構の計画をしていきます。この庭は子供達が遊べたり、活動的な庭にします。
表面が平らな石はテーブルにするかなど、いろいろな夢で話が盛り上がりました。
石は捨てるとゴミですが、買うと高いです。あるものを生かしてこの建物ならではのお庭を目指します。
裏の薪置き場予定地
建物の裏にもお庭があります。
ここは最終的には薪置き場、また薪の加工ができるような場所にする予定でした。
ただ、今は置いている薪や、元々古民家の小屋裏にあった焚き付け用の枝の上にツタが絡まって大変なことになっています。
踏み込むだけで大変です。。。
作業があまりに大変であまり写真が撮れませんでしたがこちらも同じように薪の積み直しをしています。
そして水脈作りも炭を撒くところまでは完了しています。
元々あった焚き付け用の枝は、増茂庭園設計舎の方が使ってくれるということで持って帰ってくれました。
かなりの量だったので、助かります。
枝葉を退けた時ですが、中は腐葉土のようになっていてかなりの数のカブトムシ?の幼虫が出てきました。
栄養が多くて、ジメジメしていてかなりいい環境だったのだと思います。
初めの写真と比べると劇的に綺麗になりました。
ちなみに正面に見えている波板の建物はお隣の所有です。
今回の工事でここに薪だなを作りますが、合わせて木塀で仕切れたらと思っています。
建物横の通路〜既存植栽
建物正面の右手側は、先ほどの巻き置き場に繋がる通路になっているのですが本当に薮になっていて大変です。
ここも同じように薪が積まれていて、その上にツタが巻いているような状況です。
ツタを取り除き、薪も一度移動させて積み直しました。
薪は下にしっかりと空間を作り、風が通るようにすることで今より状態がよくなります。
これを動かすのはとても骨が折れました。
樹木の足元も、整理をして風が通るようになったことでスッキリしました。
元の状態だと難しかったですが、これくらい整理されているとお手入れもしやすいですよね。
初めは手入れが難しいので切って欲しいというお話もされていましたが、この状態を見て「やっぱり木があった方がいいよね」という話になりました。樹木も買えば高いですし、切ってもゴミになり高いです。何よりこの土地に昔からある立派な木なので、残ってもらった方が街並みにもいいと思います。
こうして無事に作業が終わりました。
今回の作業はお庭の整理だけで、これで既存の樹木、石、地形などが把握できたので計画に移ることができます。
予算とご要望、また敷地の声を読み取って理想的な計画ができるように考えます。
この日、薪を信じられないほど動かしたからか帰ってから全身筋肉痛で大変でした。
造園の増茂さんたちはこの後も予定があるようなことを言っていましたが、タフだなと感心します。
一緒にいい仕事にできるよう、協力しあっていけたらと思います。
出来上がりが楽しみです!
WASH建築設計室 日野弘一