大阪府羽曳野市に築100年を超える旧浅野家住宅があります。
世界遺産・日本遺産に近接し江戸時代の伝統的な作りが残っているこの住宅は、当時から現在にわたりこの地域を構成する上で非常に重要な要素となっています。
この敷地一体を、耐震改修を施し、観光・交流拠点として再整備する公募型プロポーザルです。
提案コンセプト
「温故知新」
古きを温ねて新しきを知る
昔の事柄を今また調べなおしたり考え直したりして、新しい道理や知識を探り当てること。
「治める」
具合の悪い状態などを本来あるべき姿にしたり、好ましい状態にしたりすること。うまく整える。
この2つの言葉を交えて「温故治新」を目標としました。
ただ残すのではなく必要な箇所は刷新して後世に伝統を残す建物を目指します。
主屋:保存する・刷新する
伝統的で魅力的な箇所は残しながら、令和の時代に相応しい新しい再生の形を目指します。
意匠的に残す価値がある箇所は、既存の意匠を踏襲して安全に利活用できるような改修をします。
他の箇所には既存の建具など部材を用い現代の仕様で改修する設計手法を提案します。
刷新したい室を土間空間とすることでバリアフリー問題を解決します。
建物周囲に配置した様々なタイプの庭にアクセスしやすく、外部と繋がりやすい空間設計となります。
増築で複雑となった屋根の下野の流れを通したり、架け替えて、整理していきます。
人が集まりやすい空間
以前、酒屋として利用されていた建物は道の駅のような地域の物販販売とテイクアウト中心の軽食販売を提案しました。
駐輪場・駐車場を拡充しアクセス面に配慮し、前に広がる広場と合わせて活性化を狙った提案です。
敷地に高低差をつけて視線を通しやすくすることで子供連れも安心して利用することができます。
キリヅマの丘
元々建っていた酒蔵の屋根型に合わせて丘を形成しています。
周辺敷地を完全に遮断することなく柔らかく広場をつなぐことが出来ます。
勾配があるだけで座ったり遊んだり様々な動きを誘発することができると考えます。
工事でできた残土や自然由来の廃材を使うことができます。
事務所として初めて提案コンペに挑戦しました。
締切のある範囲で、様々なことを考える事ができる良い機会となりました。
今後もコンペに挑戦して、携われる世界を広げていきたいと考えています。
業務名:羽曳野市旧浅野家住宅基本設計・実施設計等業務
期 間:令和5年7月31日〜9月8日