神戸市北区で土塗りのワークショップを行いました。
野菜農家さんのお宅の横に建っている古い物置なのですが、改装して野菜の出荷場にします。
そのために、今の仕上げがされていない内壁を何かしらで仕上げる必要があります。
そんな中、今回は土壁を塗ることになりました。
ラフな仕上げでいいということですので、学生や子供たちにも集まってもらってワークショップを開催することになりました。
内壁の既存の状態はこのようになっています。
これは外壁に塗られている土壁の内側です。
土壁は柱の間に貫と竹小舞で下地をつくり、土をつけていくものです。
内壁も仕上げをする場合は室内側も仕上げられていますが、元々倉庫であったため室内側が仕上げられていないという状態です。
今回はこの上から中塗り用の土を塗って「中塗り仕上げ」を目指します。
まずは塗るための土造りです。
とは言っても今回は淡路島から取り寄せた土に、すさを混ぜ込むだけで塗れるものを使いました。
しっかりと混ぜないといけませんので、みんなで長靴で踏んだりしながらになります。
力がいる作業です!
コテを使って土をつけていきます。
壁は思っているよりも凸凹で、3cmくらいの厚みをつけないと平らにすることはできません。
思っているよりも多く土を使いました。そして重たいので腕が疲れます。
それでも子供たちも集中して作業を進めてくれました。
土を触ると無心になって心が整う感覚があります。
作業は合計4日間行われました。
その間で20名以上の方に参加いただきました。
遠方にもかかわらず、たくさんの方に協力いただけて感謝です。
仕上がりはこのような感じです。
壁に貫が入っていて、土が薄くなっている場所は割れやすいので「すさ」を上から貼って割れ予防をしています。
中塗り仕上げはこのような土色の仕上げですが、素朴で落ち着いた雰囲気に仕上がりました。
とてもいい感じですね。
ワークショップの期間中、依頼主の方が毎回お昼ご飯を用意してくれました。
農家のお昼ご飯はとにかく美味しいです。
お米が、野菜が、素材の味が美味しくてすごく箸が進みました。
たくさん身体を動かしたせいもあるかもしれません。
秋空の下、気持ちのいい時間を過ごす頃ができました。
この物置はこの後、大工さんの工事や電気工事を経て出荷場として完成するそうです。
その完成が楽しみです。
今回使った土壁の材料の一部は、元々あった土壁を壊した時に出た土も混ぜられています。
数十年前に使われた土が、長い年月を経てまた材料として再利用されています。
今回塗った土壁も、また将来土壁として使われるかもしれません。
そういう意味でも、土という素材の可能性をあらためて感じる機会になりました。
サステナブルで、自然で、温かみのある材料なので非常に魅力的に思います。
これからも、土を使った楽しい企画をできたらと思います。
今回ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!
WASH建築設計室 日野弘一