太子橋のいえ【17】ドキドキの躯体調整

大阪市旭区太子橋のいえ。

築90年を超える古民家を性能向上リフォームし、次の100年を見据えた再生を目指します。

耐震性能、断熱性能も改善し、増改築版の長期優良住宅をとれるレベルまで改修する計画です。

 

今週は建物の躯体調整を行いました。

既存の構造躯体を使うにあたって非常に重要な工程になります。

古い建物、特に基礎がしっかりしていない時代の建物は地盤の沈下の影響をモロに受けて躯体が傾いていることが多いです。

この太子橋のいえでも、建具と柱の間に3cm程度の隙間がある部分もいくつかありました。

 

その歪みを治した状態で、新しくベタ基礎を打つことができれば建物の歪みは治った状態になります。

ただ、屋根や内壁をそのままにしたまま躯体の歪みを取るのは至難の業です。 

 

写真は躯体の歪みを調整している様子です。

柱を元の⾼さまで持ち上げた状態で新しく⼟台が来る⾼さに合わせて切断します。

 

建物全体の躯体が動き、バキバキと⼤きな⾳が響く緊張感のある作業です。 

 

既存の基礎を残す部分は、躯体の歪みを持ち上げて調整してできた隙間にモルタルを詰めています。

このように少しずつ建物を持ち上げて歪みを補正していきます。

 

元々、屋根を残すことから重量が大きいため躯体の補正は難しいと考えていましたが、棟梁の判断でできるところまで補正をしてもらいました。

結果的にほぼ元の状態まで躯体の歪みを戻すことができました。

これによって建物の建具の隙間が⾃然に減り、既存建具の再利用もしやすくなります。

 

柱を元の高さに戻した状態で切断し、⼟台を新設しています。その土台を鋼製束で⽀えることで建物を⼀時的に⽀えます。

この状態のまま鉄筋を組んで基礎をつくることで、新しいベタ基礎は完成します。鋼製束は最終的に基礎の中に埋め込まれます。

 

非常に難易度の高い工事になりますが丁寧に作業していただきとても助かります。

緊張と期待が交わる時期ですが、きれいになる建物を見るのがとても楽しい時期にもなります。

 

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