大阪府池田市の楓の家。この度10年メンテナンスに行ってきました。
この物件は私がMSD(三澤文子さん主宰)に所属していたときに関わらせてもらっていた物件で、メンテナンスはWASH建築設計室として独立してからも頻繁に行なわせてもらっている物件になります。
施工をしていただいた、大阪府堺市のコアー建築工房の監督さんが来てくれてチェック項目を潰していきます。
当時担当してもらった監督さんが来てくれたので、物件に対する理解が深くてチャキチャキと作業を進めてもらえました。
まずは外部のマスをチェックしていきます。
屋根の上にも登って点検をします。
屋根には二階の書斎の窓から簡単に出られるようになっています。
二階には最近新しく設置した天窓があります。ここもまだまだ問題ないことを確認しました。
そして楓の家といえば薪ストーブが設置されています。
屋根に登った時は煙突周りも不具合がないかチェックが大切です。
板金が少し複雑になっていますので、水漏れが怒る可能性がある部位になります。
ここも問題なく、コーキングもまだまだしっかりしています。
外壁の状況は10年経つとこのような感じです。
まず木部については、左の写真は北側に当たる壁面ですので塗装はまだもう少し持ちそうでした。
ただ、右の写真の南面、また西面は光がよく当たるためか同じ杉板に塗装をした仕上げでも塗料のはげ方が異なります。
こちらはそろそろ再塗装したほうがいいような雰囲気です。
また、白い塗り壁部分ですが、換気扇の下側が黒くなってしまっています。
同じようにウェザーカバーがついている右側が汚れていないのは給気口だからです。
換気扇を白い塗壁につけるときは少し気を遣わないといけないなと感じます。
玄関の横の植栽スペースはソヨゴが元気に育っています。
この植栽スペースは、竣工当初植物がすぐ枯れてしまうという住まい手の悩みの場所でした。
数年前に、この土を掘り起こし、比較的浅い位置にあった石を砕いて掘り起こし、土を深くしてからは枯れずに育ってくれているそうです。
色々な記憶が蘇ります。
10年も経つと、色々と情勢も変わります。
太陽光パネルを設置しているのですが、この春で10年が経ったことで買取価格がかなり下がったそうです。
10%くらいになったと言われていました。
今までは太陽光で発電した電力を買電して、深夜電力でエコキュートのお湯を温めていましたが、買電での収益が期待できないため日中の太陽光で得た電力でお湯を沸かしたいという流れになっているということ。長く同じ住まいに関わると色々なことがあります。
今回のメンテナンスで一番問題になっているのは、南面のお庭に面したヒノキの無垢板のデッキです。
屋根がかからない部分に設置されていますので、デッキがかなり傷んでいます。
まだ、危険を感じるほどの劣化ではないですが、近いうちに交換をすることになりそうです。
でも、無垢の板でこれだけまだ強度を保っているので計画通りというか、十分な期間持っていると思います。
住まい手のご夫妻がここにタープをかけられるようにしていました。
さまざまな工夫が施されていて、デッキの上で趣味の木工などができるとても居心地がいい空間が生まれます。
ただ、設置がいちいち大変なのと、風が強いと強度に不安があるのでしまう必要があるなど、今の悩みだそうです。
今回は、ここにサンルーム?的なものをつくれないかという相談を受けました。
デッキを造り替えに合わせて、色々な可能性が考えられます。
この日は色々と使い勝手をヒアリングして、今後新たに提案をしていくことになります。
元の建物の雰囲気、また室内からの眺望もありますので工夫が必要だと感じます。
いい提案ができるようにがんばります。
室内は10年経つと色々と新しいものが増えています。
最近私もご一緒させていただいている、グリーンウッドワークの作品が目を引きます。
公私共に仲良くさせていただいて、嬉しいものです。
コアー建築工房の監督さんを含め、建築当初から建物に関わっている人が10年の節目に集まれたことに感謝のメールをいただきました。
これも住まい手の人柄と、建物の魅力があってこそだと思います。
建築を建てた後の住まいとの関わり方を考えさせられます。
番犬の虎太郎くんは建物の引き渡しの年にやってきた黒柴です。
とうことで虎太郎くんも今年で10歳。いい歳になってきました。
今後も引き続きお力に、末長くお付き合いできれば幸いです。
ほっこりとした気持ちになった10年メンテナンスとなりました。
WASH建築設計室 日野弘一