大阪府千里山で屋根の葺き替えと外壁の塗装工事の計画が進んでいます。
今日は現場で色決めを行いました。
屋根はガルバリウム鋼板の縦ハゼ葺、外壁は再塗装なのですが、住まい手が気になる色が多くて可能性は無限大になっています。
この中からどの色を選ぶのか、綿密な打ち合わせが行われました。
まずは屋根の色です。
ガルバリウム鋼板は塗装の色でさまざまなバリエーションがあります。
この中から色を決める際、さまざまな要因を整理してベストな色を決めていきます。
今回主に上がった要因は以下の四つです。
(1)暑さ対策
千里山のこのお宅は屋根裏部屋がありますのでそこの暑さに対して色合いは大きな影響があります。
新築の場合、断熱性が高いのでそこまでダイレクトに影響がないですが、リフォームで断熱材を触らない場合は色が白っぽいか黒っぽいかで暑さが大きく変わります。今回は断熱材は触れない状況ですので白っぽい色にして屋根裏部屋の夏場の室温を下げるというのはとても魅力的です。
(2)周りへの光の反射
遮熱性能がいいもので選ぶと真っ白やシルバーになるのですが、そこで問題になるのが周囲への影響です。
夏場の強い日差しが屋根で反射して周辺に害を及ぼすことがあります。
周辺に高い建物があったりするときちんと配慮する必要があります。
今回はお向かいが三階建てであること、この建物の屋根が大きくて低い位置まできていることから周辺への影響が考えられます。
(3)街並みとの関係性
周辺の街並みへの調和も大切です。いきなりド派手な屋根の家ができたら嫌に思う方もいると思います。
千里山は閑静な住宅街です。そこに溶け込む色というのはとても重要な要素です。
(4)好み
なんだかんだとありますが、結局そこで住まう住まい手が好きな色であることはとても大切です。
住まい手は和の建築の雰囲気が好きということで、それも選定に大きな影響がありました。
結局、今回は上記のことを鑑みていぶし銀の色になりました。
屋根だけでもなかなか時間がかかりましたが外壁の色はもっとたくさんの選択肢があります。
外壁はどのように選んだのでしょうか。。。
(1)汚れやすさ
今の外壁はかなり汚れていて、それを気にして今回塗り直しを行います。
ですので汚れやすさというのはかなり大きな要素です。
今回の塗装は少しツヤがあるものなので、今の外壁よりは汚れにくいです。
真っ白は綺麗で好きなのですが、やはり色が少し入っている方が汚れが目立ちにくいです。
(2)街並みとの関係性
屋根と同じですが周辺の街並みへの調和も大切です。
今までここに建っていた数十年の歴史もありますのでそれも大切だと思います。
(3)好み
屋根と同じですね。結局そこで住まう住まい手が好きな色であることはとても大切です。
結局、色味は今と同じ色に近いもので決定しました。
少しイメージチェンジをしたいという気持ちもあり、明るめの色も候補にありましたが
「この色が好きでこの物件を中古で購入した」という住まい手の言葉が決め手になりました。
こうして工事の内容が決まりましたので、いよいよ着工をすることができます。
建物が綺麗に生まれ変わるのをとても楽しみに思います。
私たち設計事務所に屋根や外壁のみの工事をお願いする人は少ないと思いますが、こういう仕事は年に数件あります。
設計監理料金をいただくことになるので高くなると思われがちですが、第三者として工務店の金額を精査してて適正な金額にすることができることや、監理をするため工事の明確化ができることから依頼をしていただくことになるのだと思います。今回は別業者の見積もりもあるなかで選定していただいたのは、自身になります。
私は地域の町医者的な建築事務所を目指しておりますので、新築や大規模改修以外にもぜひご相談ください。
WASH建築設計室 日野弘一