森を眺める素敵なお庭にデッキをDIYしたいという住まい手。
そのお手伝いに、WASH建築設計室から学生を派遣してワークショップを行いました。
吉野の製材所から高野槙を使って、いざ木製デッキの作成です。
まず、完成目標です。上の写真は吉野の阪口製材所のモデルハウスにある高野槙の木製デッキです。
これは上に屋根がない状態で約10年経った状態だそうですが、まだまだ木材はしっかりしています。
表面が銀色になるのは紫外線の影響ですが、性能に問題はありません。
仕上げは塗装などをせずに素地ということ。塗装をするとかえって劣化の仕方が汚くなりますので私も素地が好きです。
今回のデッキもこの状態が目標です。
大引を設置する
まずはデッキ板を張る前に下地となる大引を作ります。
大引を支えて高さを揃えるのは束になります。
それぞれ、デッキの板に合わせて高野槙で段取りしています。
まずはそれぞれ丸鋸を使って所定の長さにカットします。
材料の厚みが大きいので丸鋸で一回では切ることができず、裏表から切るのが少し難しいです。
それができたら、ビスで大引と束を固定していきます。
本来なら”ホゾ”や継手でしっかり固定したいところですが、簡単なDIYですので所謂”イモ”になります。
材料を並べてビスだけでの固定になります。
今回、少し工夫しているのが大引の形です。
右側の写真を見るとわかりますが、四角ではなくて下側が少し欠きとってあります。
これは下側からビス留めするための工夫です。
デッキの上側にビスなどの穴があるとそこから劣化が始まりやすいのです。ですので今回は下からのビス留めを選びました。
大引の連結が終わったら、大引を並べる作業になります。
このような簡単な造りですので、少し触ったら動いたりずれてしまいます。
ですので写真のように余った木材を使って仮止めをしておく必要があります。
これで大引が完成しました。
デッキの板を並べる
いよいよ木製デッキの板が登場です。
まず、無垢の板材は一等材で注文すると材料の山の中にきれいな材料と節が多い材料が混ざっています。
これをきちんと分けておくことで仕上がりにメリハリをつけることができます。
住まい手さんが材料を並べています。
リビングからよく見える場所や目立つ場所にできるだけきれいな材料を、目立たない場所に節の多い材料を持っていきます。
この時、材料の表裏もしっかり見て並べることが大切です。
今回は水捌けを優先して”木裏”を上面に持ってきました。
仕上がり面になる方の角はかんなで面取りをしておくと足触りが良くなります。
一手間かかる作業ですが、これをするだけでだいぶ仕上がりに差が出ます。
左の写真はきれいな板を集めた場所、右の写真が節の多めの場所です。これだけ雰囲気が変わります。
デッキ板の留め付け・切断
これで材料の配置が決まりました。
この状態で、デッキの下に潜って下からデッキ板をひたすら留めつけていきます。
今回はデッキの上に住まい手にいてもらい、間隔を固定しておいてもらいました。
その間にしたからビスをもみましたので、二人人組での作業になります。
ただ、下からのビス留めは思っている通り疲れますので注意です。
材料が留まったら、先端を丸鋸でカットします。
これでピシッと揃ってきれいな仕上がりになります。
この状態でも達成感があり、現場は盛り上がりました。
幕板を張る
デッキの束の部分を塞ぐために幕板を張ります。
幕板はデッキの下のメンテナンスのこともあるので外しやすいように正面からビス打ちをしました。
材料は杉で、オイル塗装をしています。
幕板は正面からビス打ちなので比較的簡単に終わりました。
幕板は所謂”バラ板”の材料を使い、コストを抑えました。
幕板を濃い色で塗ることで、デッキ板が余計に際立って仕上げることができました。
余った材料でステップも造って、喜んでもらえました。
DIYなので多少の凸凹やミスがありますが、全体で見るととてもきれいに仕上がりました。
・材料の角は面取りをする
・材料の表裏をしっかり確認する
・材料の木配りをきちんとする
など、要点を抑えればDIYでも十分満足のいくデッキができると思います。
また、今回は外構工事の段階でデッキの部分に土間を打っておいてもらいました。
この土間があるだけで大引の設置精度が上がりますし、後々の劣化にも強くなると思います。
予算があれば、土間をつくっておくのがおすすめです。
完成後、住まい手からデッキの写真を送ってもらいました。
室内の床とデッキの高さが揃って、室内も広くなったように感じると好評でした。
今回の作業で学生達も作業のコツや効率化を学べ、良い経験になりました。
季節もよくてとても楽しい一日となったようです。ありがとうございました。
WASH建築設計室ではDIYの相談や木工教室なども行っています。
いろいろな出会いの中で木の良さ、手作業の良さを知ってもらえたら幸いです。