非常勤講師として勤めている大阪工業技術専門学校。
卒業制作で座卓を作成している学生が漆を塗りたい、ということで自分たちで漆を塗ることになりました。
塗る部材の準備
この写真が素地の状態の座卓です。金物は使わず木組みだけでできています。
これだけでも作品としては十分ですが、ここから仕上げをしたいということで漆塗りをします!
下塗り・柿渋+弁柄塗り
まず、黒い仕上げにしたいということでしたので、
黒い弁柄(ベンガラ)と柿渋を1:1で混ぜたものをあらかじめ塗っておいてもらいました。
これがその状態です。マットで木目が見える状態になっています。これはこれで格好いいです。
生漆塗り
そして授業の日、早速漆を塗り始めました。
まずは漆が皮膚に触れるとかぶれてしまうので手を徹底的にガードします。今回はキッチンのゴム手服をした上に軍手をしています。
キッチンのゴム手袋が簡易的に防御力が高く取れてとてもよかったです。
漆はチューブタイプの生漆です。これをヘラで押し伸ばしていきます。少し艶が出ました。
養生〜二階塗り
午前の、比較的早い時間に一回目の塗装が完了し、ムロを作って養生しています。
後で写真も出ますが、漆は湿気させて乾かす必要があるのでこのように囲って中にお湯をかけた雑巾などをおいておきます。
少し早いですが、時間がないので午後から二回目の漆塗りに入りました。
一回目を塗った状態はこのような仕上がりです。艶が出ています。
色はしっかりついていますが木目が浮き上がっています。学生が望んだ通りの色味です。
二回目の漆塗りは学生一人でやってもらいました。
二回目は一回目の漆が塗っているため塗りやすくなっています。
また、慣れてきたので作業も早くなっていました。ただ気を抜いたらかぶれるので、注意を促しました。
二回目の養生です。
ムロの中身はこのようになっています。木で桟を組んで隙間を開けて、なるべくコンパクトになるようにしています。
その一番したに雑巾を敷き並べ、お湯をかけていきました。
ビニールのマスカーで囲って、他の学生が誤って触らないように注意書きをして完成。
授業は4コマですが、なんとか1日で二回分の漆塗りを終えることができました。
すでに漆の風合いに満足している学生ですが、乾いたらどうなるのか、楽しみです。
完成〜確認作業
養生を解いたのは一週間後の授業の日です。
マスカーを外すとこんな感じになっています。
とてもいい色ですね。上手に塗れたと思います。
組み上げるとこのようになりました。
渋い色で、作品がグッと締まりました。
今回、漆を塗ってみて、漆が意外と簡単に塗れるものであること、また美しい風合いであるものを感じてもらえたと思います。
普通に塗料を塗ってしまうことも多いですが、自然塗料である漆を塗ってみるのもとてもいいものです。
学生にとってもいい経験・思い出になったと思います。
日野弘一