先日行った滋賀県大津市の”琵琶湖の見える家”の5年メンテナンスの対応に行ってきました。
工事を担当した同じく大津市の坂田工務店の監督さんと一緒に、メンテナンスの結果に沿った対応をしました。
開口部に木製建具を使っているのですが、その隙間を埋めるモヘアが古くなったので取り替えました。既存のモヘアを剥がし、接着面をやすりできれいにしてから新しいものを取り付けます。
玄関の敷居の板金に靴が引っかかるので、ビスで補強します。
玄関の床が杉板だったので、それが削れて少し薄くなっているのかもしれません。
今回はしませんでしたが、今後板の上からタイルを貼るなどの方法があることを住まい手さんにお伝えしています。
下屋の破風板をデザインで少し小波板から伸ばしていたのですが、そこが雨ざらしになって普及していました。屋根の小波板に隠れるところまでカットし、切断面はオイル塗装をして対策です。
今回はこれくらいで対応は完了です。大きな問題がなくてよかったです。
建物は5年も経つと色々変わっています。
印象に残ったのは、やはり木部の風化具合です。
格子網戸や外壁の板は、軒が浅いところはグレー(黒色?)に変色しています。
住まい手さんはこれを私たちと同じように良い変化として捉えてくれるので問題ありませんでしたがメンテナンスを通じて設計の方針として考えさせられるものです。
薪ストーブは途中で使わなくなってしまう人もいますが、それは大丈夫でした。
まだ冬は終わったばかりですが真新しい薪の準備が進められています。
またもう一つ印象に残ったのは生活の変化です。
お子さんが成長してライフステージが変わるのは設計の段階でも想定していますが今回は大型犬の家族が増えていました。室内飼いにされているので、無垢の床板はきれいに塗装が剥がれて素地に近い状態になっていました。うづくりに近い感じです。
住まい手さんはその変化も許容されているし、私もその素朴な質感への変化はありだと感じたので今回は何も対応しませんでしたが、人によっては要対策項目です。
設計段階での住まい手さんへのヒアリング、感性に合わせて床材の提案もできるようにしておかないとな、と感じさせられました。
床は珍しくJパネル仕上げでした。左の写真が現状の様子。
右の写真は故・三澤泰彦氏が撮影した竣工当時の状態。こうやってみると全然違います。
あと、大切だなと改めて感じるのは工事をしてくれた工務店です。(床下に入ってくれました)
工務店がまずは元気で存続しているだけでものすごく助かります。
また工務店と住まい手、工務店と設計事務所の関係が良好に保たれていること。
これらの条件が揃っていると、住まいはますます健康に維持できるのだなと感じました。
これからも永く建物とお付き合いできると幸いです。
WASH建築設計室 日野弘一